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小林よしのり
2015.9.11 02:43政治

若者を利用する大人でいいのか?


「爺ルーズ」という安保法制反対のデモ・グループまで

現れたようだ。

まあ、爺さんならいいだろう。

もう「現場」で働き終わって、カネも時間もあるのだろうから。

 

ママさんの反対グループもあるようだ。

彼女らも家庭という「現場」があり、働く「現場」もあるの

だろうから、いいだろう。

 

一番問題なのは学生である。

学生は「現場」を持たない。

「現場」を持たない若者は、「純粋まっすぐ君」であり、

未熟なだけで、生活を自力で成り立たせる能力がない。

 

この格差社会の中で、近い将来、貧困層に属すること確実な

若者を、大人たちが「政治に目覚めた」と褒めそやしながら、

利用することは問題なのではないか?

 

わしもズルい大人の一人だから、若者のデモに一定の評価を

与えてきた。

利用できるからである。

だが間もなく法案は強行採決で成立するのだろう。

かつて薬害エイズ運動を総括した『脱正義論』で、わしが

若者に嫌われることを覚悟で、「日常に帰れ!」と呼びかけた

ように、大人たちは彼らの将来を心配せねばならぬ時だろう。

 

薬害エイズ運動はもう20年前になる。

あの頃と比べたら、今の経済状況の厳しさ、貧困層拡大の

顕著さ、非正規雇用の過酷さは、愕然とする有り様だ。

学生は政治デモをするような余裕はないはずで、国のため、

社会のためより、自分のためだけに食っていく方法を必死で

考えるべきである。

 

本当に優秀な学生は、そうしているはずだろうが、

「国のためより、自分のため」が今の学生の心構えであり、

大人が利用するのはズルである!

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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